画像検査による外観検査の中でも印刷検査は見本との差分を検出するという点で特殊な処理を要します。ある印刷品の画像が与えられたとき、この品質検査を行うためには、見本となるデータと比較する必要があります。例えば、ある黒点があったとして、それがもともとあるべきデザインの一部なのか、検出するべき欠陥なのかが判断できないためです。基準となる画像と検査対象の画像の2枚の画像を、位置合わせ、差分処理を行うのですが、単純な差分処理だけでは、真の欠陥領域を検出することが困難です。印刷には製造時に発生するノイズや、撮像時の局所的な歪みなどがあり、絵柄としては差分が出ているものの、印刷品の品質には問題が無い場合は、過剰に検出が起こってしまうことがあります。以下の図は、位置合わせを行い、単純な差分処理を行った場合の微小なノイズを可視化したものです。
したがって、差分処理に加えて色合わせ、エッジの許容など様々な調整を行い、この過剰な検出を抑制することで最終的な印刷画像検査を行うことができます。弊社ではこれらのノウハウを提供しつつ、特定の業界やデバイスに適した追加の処理方法を考案し提案することが出来ます。
- 深層学習やルールベース画像処理による過剰検出の抑制
- 深層学習による欠陥品種分類
- 印刷機の固有の環境に合わせた色補正処理
- 深層学習による印刷欠陥の検出
深層学習を用いた改善については、TensorFlowライブラリを用いて、Change Detection関連の最新技術を印刷欠陥分類に取り入れ、安定性と精度を兼ね備えたモデル構造の研究開発を継続的に行っています。深層学習処理をシステムに組み込む場合は処理速度が問題になることもありますが、現在の装置の処理環境に合わせた実装方法の技術コンサルティングも承っています。
TensorFlowについては推論処理を現場の装置に組み込みやすいようサンプルプログラムを用意するとともに、ブログやSNS等での技術的な情報発信も行っています。